ラ・フォル・ジュルネにてペドロヴァのベートヴェンのヴァイオリン・コンチェルトを聴いてきました。
いつか聴きたいと狙っていた通り、大変満足しました。すばらしいヴァイオリニストです。
ヴァイオリン好きなら絶対落とせないコンサートだったと思います。
ヴァイオリンは結構いろいろと聴いていますが、ブルガリア出身の奏者はあまり知らないですね〜。wikiで調べると多くはコンサートマスターか先生止まり、ソリストとしてCDを出すなどコンスタントに活躍している人はペドロヴァが最初かも。
ベートーヴェンは「運命」で有名ですが、このヴァイオリン協奏曲は第1楽章が優雅なので、(言葉を変えればパンチがない)、あまり聴かれないのではないかしら。
ヴァイオリンの音がものすごく綺麗じゃないと、ちょっと退屈しちゃうところがあるんですよね。それだけに奏者にとっては試金石のような音楽なのです。だから当然、聴く側としても選びに選んで聴きにいくわけ。当たりでした!
ペドロヴァさんはフランスでデュメイさんに習っているということもあり、グリュミオー譲りの端正な表情と、ヴァイオリンの持つ豊かな感情表現を併せ持っています。
まず弓使いがスムーズ、元から先までどこも弱点がない。ピタッとしてます。小さな音で弾いてもしっかりオーケストラを突き抜けて聴こえます。芯のある音なんですね。そして左手、音程が完璧です。重音も早いパッセージも正確に押し弦をしていますね。音楽的な音程なんです。オケとずれて聴こえることがない、これ大事ですね。ずれてないからと言って溶け込んでしまって聴こえないということもない。
大好きなタイプです。カデンツァはベートーヴェン自身がこの曲をピアノ協奏曲に編曲した際の自筆のカデンツァをヴァイオリン用に編曲したもの。例のティンパニとコラボする奴です。このバージョン、ヴァイオリンで弾くにはちょっと無理があるように感じていました。ピアノの和音の連打を置き換えているので、人によってはあまり美しなく響き、ダメな時があるんですが、ペドロヴァは見事でした。音を潰すことなく、かつ情熱的に弾き切っていました。2楽章も1楽章同様ゆったりした弓使いが求められるので、難しいのですが聴き惚れましたよ。そして第3楽章、ここでつい力が入ってしまう奏者が多いですが、主題からして躍動的、そしてヴァイオリニスティックな音で魅了します。指揮者に微笑み掛けながら余裕の演奏。カデンツァ以降の聴かせどころではアクセルを踏み込みさらに躍動的に盛りあげます。最高!心のなかでブラボー叫びました(口に出すのは恥ずかしいんです)。
オーケストラも献身的でしたね。東フィル、いい音がしていました。次回来日ではお聞き逃しのないように!