記憶喪失で昏睡状態から目覚めたライランド・グレースが主人公。彼は人類滅亡を引き起こす可能性のある太陽の減光現象を阻止するために、地球から12光年離れたくじら座タウ太陽系に送られたことを徐々に思い出していく・・。
先ほど読み終わったこのSF小説。じわっと来ました〜。
「火星の人」で注目していた作家アンディ・ウィアーの最新作ということで、それほど期待せず読み始めたのですが、随所随所に感動させられてしまいました。ウルッときたところも何箇所もあります。SFでウルッ?いやそうなんですよ。こう言った形で感動させられるとは思っても見ませんでした。
よくある終末ものでもあるし、読み始めて主人公がずいぶんドジというか、「なんで」ということもあるのですが、それはおいおいわかってくるという、そんな書き方がしてあります。主人公さん、「終末」の原因に関しては最高の見識がありながらながら宇宙飛行士としてはど素人という立ち位置なんですね。それが面白さにつながってくるというのが本書の狙い。
あまり書くとネタバレになるんですが、孤独や友情ということも考えさせてくれるし、何か物事を解決するときにチームの一体感というか、同じ目標に向かって力を合わせることの尊さを感じさせてくれました。科学の知見をどのように応用して問題を解決してくかということについても丁寧に描かれていていて、「がんばれ」「よくやった」と言いたくなる瞬間が多くあります。
大前提となる「終末が起こる」設定はともかく、その後に起こる様々な事象は決して荒唐無稽ではないので科学が大好きな人はおすすめです。書かれている科学的な知見に関しては高校生の理科で十分理解できるので、中学生高学年から高校生にもぜひ読んでほしいと思います。
突っ込みどころも皆無ではないですが、そこは主人公が素人であるということでお許しを。
なんでもライアン・ゴズリングを主人公に映画化が決まったとか。こりぁ楽しみだわね。