8年前にも同じホールで同じデュオを聴いていますが、前回はすこしヴァイオリンが遠慮気味だったと思います。しかし今回は全然違い、その堂々とした演奏ぶりに聴き惚れました。逆にギエルミさんが少し遠慮気味?w。
このホールはバロックに最適ですね。残響には乏しいですが、音がまとまっていて、表現が受け取りやすい。昨年のベザイデンホウトとのモーツァルト・ソナタ集(別ホール)は期待して行ったのですが(かなり前の席にも関わらず)、音が散って楽しめませんでした。
それはともかく、今回のプログラム、マイナーな作曲家が多かったものの、音楽的にも大変楽しめました。「ヴェネツィアからドレスデン」という副題がついていますが、だいたい時代ごとにプログラミングされていて、古い時代から新しい時代への変化が味わえました。前半だけでもすべて弓(バロック・ボウ)を持ち替えていました。
最初の方の曲では、トリルも弓を1音1音返していました。それがまた独特のアクセントがあっておもしろい。下げ弓(ダウンボウ)と上弓(アップボウ)の差がこの時代の特徴で、それがしっかりと表現につながっています。チェンバロソロによるフレスコヴァルディのトッカータを挟んで、ヴィヴァルディのソナタ。それまでの前期〜中期バロックの様式とは違って、コレッリ流のソナタはやはり緩急(典雅さと技巧的な面も含め)のコントラストというその後の音楽の発展につながる様式の中に美意識が感じられてグッと来ました。ヴィヴァルディからまた弓を変えることにより、さまざまな音色が繰り出され、その多彩さに舌を巻きました。
後半はピゼンデル、ヴェラチーニとその様式を推し進めた時代の作品。超絶技巧に繋がる部分もあり、さらに聴き応えが増します。最後のヴェラチーニの終楽章、エンディングに向かっては高揚しました。バッハの鍵盤ソロを挟みましたが、やはりバッハは和声の多用、そして和声進行そのものの見事さという点で、現代まで射程する内容を持っていると感じました。同時代の作曲家と決定的に違う点がそれですね。
アンコールでのバッハ2曲は伏線を回収するごとく、通奏低音のように流れていた「バッハへの影響」を見事に表していました。