Steven Osborne (piano)
Cynthia Millar (ondes Martinot)
BBC Philharmonic
Nicholas Collon (conductor)
この演奏はよい。直近に視聴したものが比較対象になってしまうのは仕方ないところ。
1楽章 冒頭の弦の音処理からして、指揮者がわかっている!スティーブ・オズボーンのピアノも素晴らしい。音もいい。きらめく高音、深々とした低音。最後のストレッタは演奏不能の速さだが、こうじゃなきゃ。
2楽章 バランスがいい。BBCの音響さん恐るべし。そこから見えてくる細かい音のタイミングがいい。指揮者、オーケストラが音楽がわかっているのだろう。日本のオケとの違いを感じる。
3楽章 いきなりのピッコロがいい。音のスピード感がいいのだ。打楽器的なのだがそれがドンピシャ。そこにオズボーンのピアノのなんと生き生きとした絡み。楽想のチェンジでもオケが敏捷にかわるところが素敵。
4楽章 終盤オンド・マルトノの表現もぐっと情感あふれるものに。シンシア・ミラーすごい。
5楽章 品のいい、高揚感。この丁寧さはさすがヨーロッパ。どこまでも透明。なんでこんなことができるみたいな超絶の演奏。プロムスでこのレベルを聴かされるとは。アンサンブル危なかったが誰も焦ってない。
6楽章 聴き込むにつれ、6、8楽章こそが曲の中心と思うようになってきている。この演奏もそれを裏付ける。
7楽章 短い楽章ながらピアノ・ソロ、打楽器、チェロ・ソロがものをいう。いずれもよい。
8楽章 楽想がコロコロ変わる曲だけに指揮者、オケの力量を問われる。ライブとは思えない整理感。オンドのキレも特筆。
9楽章 バランスがいい。神秘的。ちょっと外すとチンドン屋風になるのだが、そう感じさせない。
10楽章 最初の音からして素晴らしい。裏拍に回った時の打楽器のハマり方で決まる。5楽章にも言ったことだが、品のいい高揚、これにつきる。つっこまない、荒れない、もっさりしない。最後のクレッシェンドは途中、サスペンデッド・シンバルのクレッシェンドにへこみが見られたのが残念。